Automotive Design | IDINGPOWER F-07 【Design work / Design Management】

限定生産製品開発プロジェクト / Limited Production Project 【IDINGPOWER F-07】

 

FerrariとBMW-Mの車両をベースに、エンジン本体、吸排気系、ボディ、駆動系までをトータルにカスタマイズする事業を展開する IDINGPOWER 社の少量生産コンプリートカー【F-07】の開発において、デザインおよびデザインマネジメントを担当いたしました。

自社に設計部門・製造部門に持たないお客様の製品開発においては、KH-iDがお客様の意向を製品に反映できる様に情報を整理し、お客様サイドの企画部門・デザイン部門窓口として機能することで、外部サプライヤーの設計部門・製造部門と協働し製品化までのデザインマネジメントを担当しました。

IDINGPOWER : F-07製品ページ

  1. F-07デザインの基本的な考え方
  2. F-07 デザインの概要

Original に敬意を払いつつ Iconic な存在感を得る

IDINGPOWER F-07 は、2002年のパリモーターショーで発表された Ferrariの限定車 Enzo Ferrari をベースとしています。

ベースとなる車両(造形)がある上でデザイン開発を進めていくプロジェクトでは、白紙から造形を組み立てていくデザインプロジェクトとは異なる難しさと同時に、面白さ、チャレンジのしがいがあるプロジェクトです。

IDINGPOWER社は自社のコンプリートカー開発において、ベース車両が生まれ持ったパフォーマンスをさらに【先鋭化】し、それを具現化するための素材や技術を厳選してパーツを作り、組み込み、走らせ、評価する。そうした人の手による丁寧かつ入念な創作行為を通して【IDINGPOWERコンプリートカーとして再定義】することで、そこに新たな“存在価値”を生み出していくことを重視しています。

このブランドコンセプトに沿ってデザイン開発も進めていくことになります。

他ブランドのカスタマイズドカーのデザイン(造形)では、変更部位や交換部品の造形部分を目立たせることでベース車両との『違い』を主張する、といった手法がよく見られます。

しかし、IDINGPOWER社のコンプリートカーのデザイン開発においては、こういった手法は採用しません。
当社では今回のF-07のデザイン開発では大きく次の3点を意識しています。

1.オリジナルのFerrari ENZO Ferrariの造形に溶け込み、F-07が元からラインナップされていた派生車であるかのように、全体に違和感のない印象を持たせること。そして同時にアイコニックな印象も持たせること。

2.2020年代に手を加えて開発するからこそ採用できる要素を盛り込むこと。

3.過去のIDINGPOWER社のコンプリートカーと共通するイメージを盛り込むこと。

※完成車メーカーとは違い、IDINGPOWER社のように頻繁に自社オリジナル製品を世の中に送り出す訳ではない企業/ブランドにおいては、過去の製品を想起させる共通イメージを取り込むことは、印象としての『らしさ』を一つの製品(点)ではなく面で認知してもらい、ブランドイメージへとつなげる助けにもなります。

Exterior / Front
オリジナルのENZO Ferrariが発表された2002年のフェラーリは、ミハエル・シューマッハがファン・マヌエル・ファンジオと並ぶ5回目のF1 ワールドチャンピオン獲得したタイミングと重なりました。このためロードカーであるENZO Ferrariにも当時のF1ノーズをイメージさせる造形が採用されています。

F-07のデザインでは、ベースボディの ENZO Ferrari が持つF1マシンのノーズを連想させる造形をさらに強調するようにリデザインされたボンネットに、ウイング形状のフィンを備えるフロントグリルを組み合わせることで、IDINGPOWERコンプリートカーとしての特徴的なフロントエンドを体現しています。

また、ホイールハウスから取り込まれた空気の排出を強化するためのエアアウトレットを、フェンダー上部にヘッドライトユニットと一体化する形状で追加しています。

 

Exterior / Rear
フィンを備えるエアアウトレットを持つバンパー部と、マフラー・ディフューザーを統合して大型化が図られたリアグリルを組み合わせるリアエンドは、F-07のひとつのデザイン的なハイライトと呼ぶべきセクションです。どちらもエンジンコンパートメントからの排熱を効率化させる狙いがデザインの起点となっており、まさに機能を追求したからこその美が、そこには体現されているのです。

同様にエンジンフード上面にもフィン付きのエアアウトレットを設定し、リアホイールハウス後方のエアアウトレットを拡大することでリアバンパーから空気の排出を促進しています。

F-07のスタイリングでの特徴的な印象の要素であるリアグリルにおいては、日本の伝統文様である矢羽根からイメージしたパターンを採用しています。ここには『イタリア製の ENZO Ferrari に日本人の手が入ることで、パフォーマンスを先鋭化する』というIDINGPOWERのコンセプトが込められています。

グリルのパターンは遠目にはよくあるハニカムパターンのグリルに映りますが、近づいて見ると単純な網目ではなく、奥行き方向にも意匠を施した複雑で繊細な形状で構築されています。この既存製品にはない手の込んだ形状を具現化するために、DMLS(Direct Metal Laser Sintering)方式によるAM(Additive Manufacturing)を採用しています。

 

Wheel
IDINGPOWER社のオリジナルデザインでのフェラーリ用ホイールは、1995年のフランクフルト国際モーターショーで発表したコンプリートカー、F365-S3がその起源となります。この時の18インチ鍛造アルミホイールに採用された変形5本スポークデザインは、後のF460GTに合わせて開発された19インチ鍛造マグネシウムホイールにも受け継がれました。そしてF-07の20インチ鍛造マグネシウムホイールにおいても、そのイメージを継承しています。

性能面ではENZO Ferrari のオリジナルホイールが19インチ鋳造マグネシウム製でフロント:12.20kg / リア:14.60kgであることに対し、F-07の鍛造マグネシウム製ホイールは20インチにサイズアップをしながらもフロント:11.20 kg / リア:12.88kgと軽量化も果たしています。

 

EMS / Electric mirror system
より美しく伸びやかなボディラインと空力性能を求めてサイドミラーを排除し、最新鋭の小型電子カメラ式のミラーシステム / EMSを採用しています。このシステムは2007年にデビューしたF460GTで開発がスタートし、F-07でより先鋭化されました。後方視界はメーターナセルに純正品のように左右でフィッティングされたバックモニターで確認することが可能です。高速走行中でも視線を大きく動かすことなく後方視界が得ることが可能です。

 

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