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デザイン活用はモノづくりとヒトづくり ~ デザインを担当した製品が発売されました ~

新しいカテゴリーの電動車いす【Light6】

デザインを担当した株式会社 今仙技術研究所さんの電動車いす【Light6】が発売となりました。

この電動車いすは2018年の国際福祉機器展に【Light6】試作機として出展されたモデルを基に、量産型としての仕様充実やブラッシュアップを施した市販モデルです。当初の発売開始予定は2020年4月でしたが、新型コロナウイルス禍の影響による量産部品調達の遅れなどから5月発売へと変更となりながらも、無事に世の中に送り出すことができました。

緊急事態宣言のさなかの受注開始だったこともあり、今仙技研さんの営業担当の方々は、通常の営業活動ができない困難の中ながら良い感触の手応えでスタートを切れていると聞いて、私も嬉しく思っています。

このLigh6は、在宅環境など屋内利用時に重点を置いた、軽量コンパクトな座位転換機構付きの電動車いすです。転回半径が小さく、転回時のフィーリングも自然で安定性が高い6輪型の車体に、ティルト&リクライニングの座位転換機構を組込みつつ、同タイプ他製品の半分となる重量50㎏で実現しました。

ユーザーが自力でできることを増やすための使い勝手と補助機能を充実させた製品です。

電動車いすユーザーのより自立した暮らしにおいては、屋内で使用する車いすはコンパクトなことが望まれます。また、1日中利用する車いすユーザーにおいては、座席と身体のズレ軽減や体圧分散や血圧調整のために姿勢変換が必要する方も多数いらっしゃいます。

ユーザーの暮らしの質向上という面では、これらのことを『必要な時に自力でできる』ことは、ユーザーにとって大きな価値であり、その様な場面において電動のティルトやリクライニング機構は極めて有効な助けとなります。

しかし機構要素が増える分そういった車体は、大きく車量も重い製品がほとんどで、ユーザーからは在宅環境下で使い勝手のいい製品を求める声が出ていたそうです。こういった背景から、屋内での使用性に重点を置き、移動の為だけの道具ではなく、ユーザー自身が自分でできる自由度を増やすことでのQOL向上を支援すべく、座位変換機構を備えた軽量コンパクト電動車いすの開発がスタートしました。

この開発プロジェクトにおいて私は、軽量6輪タイプ開発初期より製品デザインに関わらせいただき、初期は製品としての在り方についてのディスカッションとそれに基づく試作機づくり、試作機のユーザー環境での試用からのフィードバックを、量産段階では仕様を決めた後は3Dデータでの作り込みをと、上流から下流までで担当してきたこともあり、基本的なデザインの意図を崩すことなく量産製品として送り出すことができました。

Light6 デザインのポイント

1.回転半径が小さな中輪駆動・6輪タイプと座位転換機構を両立しつつ、重量50kgに納めたコンパクト車体を実現

同じような機能・仕様を持つ電動車いすの多くは大型で、重量も100㎏~150㎏超という製品も珍しくありません。Light6は圧倒的な軽量・コンパクトな電動車いすとすることで、日本の住環境の中でもユーザーの移動性と身体の自由度を拡大し、介助者の負担も減らす新しい価値提供を意図しています。

2.無骨さを排し、室内空間に馴染む視覚的な軽量感と、乗車して移動するモノとしての安定感を併せ持つ外観

『室内メインで使用する機器にふさわしい繊細さや、清潔感といった印象をもたせる。』『突起感や鋭利な端部をできるだけ排除することで、使用者本人だけでなく同じ空間にいる廻りの人たちに対しても、柔らかな使いやすい印象をもたせる。』

こういったいったことを基本要素にしながら、製品全体の統一感のある外観を意識してデザインしました。というのも、車いすという製品は、他機種との共通部品で構成される部分も多い製品です。このため専用部品と共通部品との間の外観や質感などの印象をスムーズにつないであげないと、『寄せ集めのDIY品』のような印象になりかねません。

3.アイコン、余白としての拡張性

Light6では、コンパクトなシャシフレーム上で安定したティルト動作を成立させるために、ティルト位置が変化しても重心は変動することのない、円弧状の軌跡で動く機構を新たに開発しています。スタイリングという面でのデザインにおいては、この円弧フレームを積極的に見せるデザインとすることでシート部をシャシ側から浮かし、視覚的な特徴と軽量感のアクセント、Light6のアイコンとしました。

一方で機構部品やバッテリー、制御ユニット、駆動モーターといった見た目に煩雑なものが搭載されるシャシフレームを大き目のカウルで覆うことで無骨な印象を排し、住環境での室内空間にも馴染むデザインとしています。

また、電動車いすはユーザーの身体状況に応じ個別にカスタマイズすることが多い製品であることから、拡張性もデザイン要素と捉えたフレームや部位の構成としています。

製造工程の終わりが製品の完成ではなく、一人のユーザーのためにカスタマイズされた時にモノとして完成するという考え方です。

リンク:株式会社今仙技術研究所 製品ページ >
リンク:KH-iD / Works [Light6 Production Model] ページ >

デザイン活用はモノづくりとヒトづくり

製品開発プロジェクトにおいての、外部デザイナーとしての成果物としては製品デザインのアイデアや3Dデータであり、お客様がご依頼いただく際もこれらが最初の要望となります。

しかし私としては、せっかく縁あって製品開発をご一緒させていただくのだから、お客様側には『きちんと意図を持ってデザインを使う』というという部分でも刺激になったり成長を促す機会になって欲しいと考えています。このために仕事の進め方としては、一方的にデザイン案を提案することはせずに、「なぜこのデザインなのか」「何を意図しているのか」といったことのディスカッションも含め協働するようにしています。

協働を積み重ねていくことで、関わった人たちも「特徴や訴求点はどこか」「なぜこのデザインを選択したのか」といったことを意識するようになり、デザインを好き嫌いで語るのではなく、自分たちのコンセプトに対するその時々最適解としてのデザインを語れるようにもなってきます。

Light6の数年間に渡る開発プロジェクトメンバーにおいても、同じような変化がありました。

開発初期段階では、6輪ならではの特徴や、数値的なスペック、個別部位・部品ごとの物理的な機能面についてといった、部分最適な視点に焦点が当たりがちだったのが気になる点でした。

例えば、各種のカバー類についても、なんとなく『カバーが必要かも?』という問題意識を持ちつつも、初めの頃は『隠せればいい単なるカバー(あるいは、たかがカバー)』『ちょっとした化粧』など、個別部位ごとの物理的な機能面にだけ目が向いていると感じる場面が少なからずあるといった感じです。

これに対し、その都度『Light6で目指す在り方はどうあるべきか?→であれば見せ方はどうすべきか?』といった問い掛けとディスカッションをしつつ、その時点での試作機で視覚的にネガティブさとなりうる要素をひとつづつ潰しながら進める方法を試みました。

こうしたことを続けていくうちに、開発チーム各人に全体像としてのLight6の在り方、見え方を意識した発言であったり、問題解決のアイデアをまずは手早く自分で試してみる(ミーティング時に、その場で答えの出ないことで議論に長い時間を使うことの減少も含め)、といった行動へと変化してきました。後半の量産段階では、製造要件と意匠を両立させるためのアイデアを積極的に出し、部品製造メーカーへ働き掛けるといった事も多くありました。

こういったことにより、デザインを大きく崩すことなく製品化でき、担当デザイナーとしては感謝でありますが、プロジェクトメンバーの変化もプロジェクトの成果のひとつとして嬉しいものとなりました。

是非とも、今後の大きな変化への芽として育てていってほしいなぁ、と考えています。

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